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    My Cat, My Home #01 | 猫と私の“好き”が重なる場所。

    My Cat, My Homeの第一回は、インテリアショップ「G.E.M」の店長・大塚さん。愛猫「つむぎ」ちゃんと暮らすのは、アートや家具が静かに呼吸するような、ぬくもりに満ちた空間です。「好きなものを、好きなように」。そんな言葉が似合う住まいには、大塚さんの感性と、つむぎちゃんのやさしい気配が、自然と寄り添っていました。今回は、大塚さんの“わたしらしい暮らし”とともに、お気に入りのインテリアアイテム、そしてつむぎちゃんの日常の風景をご紹介します。

道端で出会った、小さな命

出会いは、7年前のこと。静岡へ出張していたスタッフが、運転中に道路脇で小さく縮こまっている仔猫を見つけました。「このままでは危ない」と保護されたその子が、つむぎです。
紙袋に入れられてやって来たのは、骨が浮き出るほどやせ細った小さな身体。その時はまさか自分が一緒に暮らすとは思わず、里親を探すつもりで一旦自宅へ連れ帰りました。
けれど数時間後には、背中にちょこんと乗ってきたり、ペットシーツで上手にトイレを済ませたり──まるで「この家で暮らしたい」と言っているような仕草に、心を掴まれてしまって。あっさりと一緒に暮らすことを決めました。
今では「神様からの贈り物」だと思うほど、つむぎとの暮らしはかけがえのない宝物です。

サビ柄と瞳、そして“会話”ができる猫

つむぎの一番の魅力は、何と言っても唯一無二のサビ柄。全身を覆う斑模様の赤毛に、首元はまるでマフラーを巻いているよう。おなかには、ほんの少しだけ白い毛が混ざっていて、それもまた愛らしいポイントです。
そして、薄いブルーグリーンの瞳──光の加減で表情を変えるその色は、思わず見惚れてしまうほどの美しさ。
さらに驚くのは、言葉が通じること。毎日ちゃんと会話をしていて、ダメなことはダメと理解してくれるので、共同生活もとてもスムーズです。

友だちであり、家族であり、パートナー

毎日を共に過ごしてくれる、友だちであり、家族のような存在。お互いにお互いがいなければ成立しない、そんな関係です。
朝は私が起きるまでベッドで一緒に眠り、キッチンに立てばおやつを催促。休日はずっとそばにいて、その間も自然と会話が続きます。
どの瞬間も愛おしいけれど、やっぱり一番ホッとするのは、帰宅したとき。喜びいっぱいの顔で迎えにきてくれる、その瞬間ですべての疲れがほどけていきます。

“飾らない”が心地よい空間づくり

数年前に思い切って迎えた、モーエンセンのヴィンテージキャビネット。
その上には、その時々の“好き”を並べ、壁も自由に飾ります。気分に合わせて気軽に入れ替えられるのが、このスペースのいちばんの魅力。
きれいに整然と並べるよりも、無造作に好きなものを置いておける場所にしていて、自然体の空気感が心地よいのです。
時折、つむぎがちょこんと乗って遠くを見つめている姿も、この場所の大切な景色のひとつになっています。

暮らしを彩る、お気に入りのものたち

Astier de Villatteのキャットインセンスバーナー

何年も前から憧れていた、Astier de Villatteのインセンスバーナー。中でもSetsukoシリーズは、猫の表情と佇まいがなんとも言えず魅力的です。大きく開いた口からふわりと煙が立ち上る姿はユーモラスで、見ているだけで気持ちがゆるむ。毎日の暮らしに、ふっと心がほどける瞬間をくれる存在です。

作家による猫の絵

これまでに出会い、関わらせていただいた作家さんの作品は、私にとって特別なもの。画家・山口一郎さんが描いたつむぎの絵は、なんと2枚。最初に描いた作品を「もう一回描かせて!」と改めて描いてくださったのですが、どちらもつむぎらしい魅力をとらえていて、どちらも宝物です。また、佐上まりこさんのむちっとした猫の絵も大好き。ユニークさの奥に儚さがあり、どこかつむぎに似ているような気がします。

菅祐子さんの花瓶

いつか良い出会いがあれば…と心に留めていた菅祐子さんの作品。展示でたくさんの花瓶を前に迷った末、ベージュがかったやわらかな色合いと、ころんと丸いフォルムに惹かれて選びました。主張しすぎず、それでいて確かな存在感がある。サイズも程よく、つむぎがうっかり落とす心配がないのも安心です。

十場あすかさんの食器

白、灰色、青みがかったグレー──十場あすかさんがつくる釉薬の色合いは、どれも静かで深い美しさがあります。わずかに歪んだフォルムも味わいのひとつ。お鍋は使う前に目止めをする必要がありますが、そのひと手間も含めて器が自分の暮らしに馴染んでいく過程を楽しめます。使わないときでさえ、棚にあるだけで絵になる存在です。

これからも、大切にしたい距離感

今になってやっと、自分らしい時間の過ごし方が見えてきた気がします。
毎食、料理をして、食器を出しっぱなしにせず、すぐに片付ける──そんな小さな当たり前の行動が、今の暮らしを心地よくしてくれる。
もともと家にいることが好きでしたが、つむぎと暮らすようになってからは、その時間がより大切で愛おしいものになりました。
大袈裟かもしれないけれど、つむぎにとって、この家とこの暮らしがすべて。お互いにとって無理のない距離感を保ち、心地よく過ごせる日々をこれからも続けていきたいと思います。
私の居場所には、自分が好きなものだけを置きたい。それと同時に、つむぎにとっても安心できるものだけを選びたいと決めています。
整いすぎない空間、ほどよい散らかりがつくる温もり──そんな穏やかで安心できる暮らしを、これからもふたりで大切に紡いでいきます。

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