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    • マイキャットマイホーム

    My Cat, My Home #09|山の静けさと、猫の時間。

    山奥の小さな家で、ブリュと暮らしています。 薪ストーブの前で丸くなり、 窓辺で風や鳥の声に耳を澄ませ、 日が昇り、沈む、その正確な循環の中で過ごす毎日。 かつて「凶暴」と言われた一匹の猫は、 いまでは家族の気配を確かめながら、 同じ空間のどこかに、静かに身を置いています。 時間の流れが変わり、 暮らしの優先順位が変わり、 争いや急ぎ足の思考から、少し距離を置くようになった日々。 山の静けさと、猫の時間。 そのなかで育まれていく、穏やかな暮らしを訪ねました。

ブリュという、元気な小心者

愛猫の名前はブリュ。
ブリティッシュ・ショートヘアの女の子で、5歳8か月になります。

性格は「元気な小心」。
人一倍エネルギーはあるけれど、とても繊細で、少しの物音や気配にも耳を澄ませています。
頻繁にイカ耳になりながらも、今ではすっかり甘えん坊。
表情がとても豊かで、小さな鳴き声やしぐさで、自然と意思疎通ができる存在です。

「凶暴な猫」と言われたあの日から

コロナ禍、地方の寂れたペットショップで出会いました。
正月明け早々、都会からやってきたという少し風変わりな猫。
ショウウィンドウ越しに小一時間、にらめっこをしていました。

「抱っこできますか?」と尋ねると、
「ケージに入れて、指先で触るくらいなら……」と、どこか言い淀む店員さん。
その言葉が気になりつつ、その日は後ろ髪を引かれながら帰宅しました。

一晩、家族会議。
翌日ふたたび店を訪れると、
「この子は凶暴だから、初めて猫を飼うなら絶対やめた方がいいです」と言われました。

売りたいはずのお店が、売らない。
それでも、生後8か月を過ぎ、家族が見つかる気配もないことを聞き、
「猫って、そもそも自由ないきものじゃない?」
「家でのんびり暮らせたら、それでいいんじゃないか」
そんな思いが重なり、迎える決意をしました。

きっと、怖い思いをしてきたんだね。
いまでは、すっかり甘えん坊です。

表情で会話する猫

ブリュは、会話ができます。
小さな声と仕草、そしてとても豊かな表情で、自然と意思が伝わってくるのです。

時々、笑います。
そして頻繁にイカ耳になります。
繊細で、柔らかな家族です。

張り切ると、まず爪研ぎから始まります。
「取り敢えず、コーヒー飲もうか」
そんな合図のようで、そのたびにこちらはおもちゃを準備するのです。

好きな場所、好きな時間

薪ストーブの前でゴロゴロするのが好き。
窓辺の日向で、小鳥の歌声に耳を澄ませるのが好き。
風を感じるのが好き。

カマキリ未満の昆虫を見ると、狩猟本能が刺激され、
網戸をバーンと鳴らすのも好き。
ひと夏、ヤモリと友だちだったこともありました。

キャットウォークでいびきをかきながら、うたた寝。
家中を独り占めできるのが好き。
家族と同じ空間、視界のどこかに必ず居るのが好き。
抱っこは、嫌いです。

平穏であること

迎え入れた経緯がああだっただけに、
何よりも「平穏」を大切にしています。

大きな音にも敏感なので、
私たちが穏やかでいれば、ブリュも自然と穏やかになります。

物を落としたり、壁を引っかいたり、
カーテンをよじ登ることはありません。
だからこそ、植物の配置など、
ブリュが快適に暮らせるよう、さりげなく気を配っています。

一人っ子なので、
家中を自由に駆け回れることが、何よりのご機嫌のようです。

自然と室内がつながる家

山あいに暮らしているので、
外の自然と室内がゆるやかにつながるよう意識しています。

四季折々の色、素材、空気、
自然の音や香りを、家の中でも感じられるように。

夫の流す音楽には、時々姿を消しますが
(私が練習するウクレレからも……)、
夫が弾くギターには、なぜか耳を傾けています。



静かな暮らしに寄り添う道具たち

キッチンの窓辺の作業棚は、
イギリスの、少し古いもの。
磨きをかけず、店頭にあった姿のまま持ち帰りました。
誰が、いつ付けたかわからない傷にこそ、味わいがあります。

デンマークの古いチーク材のドローリーフテーブルは、
無駄を削ぎ落とした潔い意匠と、褐色の木肌が、この静かな暮らしによく合います。

同じくデンマークの椅子は、
一年越しでようやく出会えたもの。
探し続けた時間ごと、愛着になりました。

夜を照らすのは、
ORIGINAL BTC ENGLAND のフィン・ペンダント。
ボーンチャイナの柔らかな灯りが、
漆黒の闇と星空に、ちょうどよく寄り添います。

猫が教えてくれたこと

猫と暮らすようになり、
時間の流れと、その感じ方が劇的に変わりました。

人は日常に押し潰されながら、
時間を浪費してしまう。
でも猫にとって大切なのは、
日が昇り、日が沈む、その正確な循環。

それで十分じゃないか。
日向でゴロンとしている姿を見るたび、
争いや諍いほど、愚かなものはないと思うのです。

ブリュの時間を、奪わないように

人の一日は、猫にとって三日分に相当すると言われています。
だから、数時間の留守から帰ると、
とても嬉しいのだそうです。

ブリュは、仏頂面で玄関まで来て、
頭を押しつけると、自分の世界に帰っていきますが。

それでも、
寂しいこと、怖いこと、嫌なこと。
腹が立つこと、泣きたくなること。

そんなことに、
ブリュの大切な時間を費やさなくていいように。
これからも、そんな暮らしを重ねていきたいと思っています。




暮らしに自然と馴染むかたち

気になっているのは、
TAJIMI / food bowl(black)と、TEMBEA TOTE BAG。



多治見はご近所であること。
マットな釉薬の質感。
十分な直径で、まん丸なブリュの顔がすっぽり入ること。

そして、
お出掛けが苦手なブリュと私に、
そっと寄り添ってくれそうなトートバッグ。

猫のためであり、
人の暮らしの中にも自然と馴染むこと。
そこに、&CATらしさを感じています。

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